
「最近、母が夜なかなか寝つけなくて…」
そんなお悩み、介護中のご家族からよく相談されます。
高齢になると、どうしても睡眠が浅くなったり、寝つきに時間がかかったりしますよね。
この記事では、高齢者の睡眠の特徴や、薬に頼らず寝つきをよくする生活改善法を、店頭での相談事例や一次情報も交えながらやさしく解説します。
- 高齢者の睡眠に見られる特徴と原因
- すぐに始められる生活改善法
- 筋力トレーニングや睡眠環境の工夫
最終更新日:2025年9月29日
監修:登録販売者 はる店長
病院への受診ライン|まず安全の確認を
寝付きの悪さが長期間続き、次のような症状がある場合は、自己判断での改善にこだわらず、医師の診察を受けましょう。
- 睡眠時間が確保できているのに日中の眠気や倦怠感が強い
- いびきが大きく、呼吸が止まることがある(睡眠時無呼吸の疑い)
- 夜中に何度もトイレで起きる、激しいかゆみがある
- 抑うつ状態や認知機能の低下がみられる
こうした場合、不眠の背後に別の疾患が隠れている可能性もあるため、早めの受診をおすすめします。

店頭でも「夜中に何度もトイレに起きる」という相談が圧倒的に多いです。無理に我慢せず、医師への相談をおすすめします。
結論|生活改善で寝つきを良くするにはこの3つがカギ
高齢者の寝付きが悪いとき、薬に頼る前に見直してほしいのがこの3点です。
- 日中の活動量(特に筋力トレーニング)
- 就寝前のリラックス習慣(筋弛緩法・ツボ押し)
- 睡眠環境と生活習慣の見直し

まずは「体を動かす・リラックスする・環境を整える」の3つを意識するだけでも、寝付きはぐっと変わりますよ。詳しく説明していきます!
高齢者に多い睡眠の特徴と寝付きの悪さの原因
加齢による睡眠の変化
- 65歳を過ぎると、必要な睡眠時間は約6時間に減少
- それに反して床で過ごす時間(床上時間)は長くなる
- 深い眠り(ノンレム睡眠)が減り、夜中や早朝に目覚めやすくなる
寝付きが悪くなる要因
- 日中の活動不足(運動量低下)
- 持病や頻尿などの身体的トラブル
- 不眠に対する不安や焦り
- 長時間の昼寝、就寝前のスマホ・TV使用
寝付き改善の生活ガイド|高齢者向け7つの対策
1. 筋力トレーニングで日中の活動量UP
- 軽いスクワットやかかとの上げ下げ
- 週3回以上、日中または夕方(寝る2〜4時間前)がおすすめ
- 筋力が衰えると、体内リズムも乱れやすくなる

実家の母も毎日15分の散歩を習慣にしてから「夜眠りやすい」と言うようになりました。無理のない範囲で体を動かすことが大切です。
2. 寝る前5分の筋弛緩法
- 布団の中で手足をぎゅっと力を入れて脱力を数回
- 呼吸が少し乱れるくらいが目安
- 寝付きやすくなり、イライラや胃腸の不調にも◎
3. 寝る1時間前のツボ押し
- 労宮:手のひら中央
- 失眠:かかとの中央
- 優しく押しながら深呼吸。スマホを見ながらでは逆効果!
4. 睡眠環境の見直し
- 寝室は静か・暗め・やや涼しく(18~26℃)
- 夜はスマホやTVを避け、ブルーライトカットを意識
- 朝はしっかり日光を浴びて体内時計を整える

店頭では「寝室の温度は18〜26℃」と伝えてもピンと来ない方が多いので、「冬は靴下を履かなくても寒くないくらい」と具体的に説明しています。
5. 入浴のタイミング
- 就寝1〜2時間前のぬるめの入浴で深部体温をコントロール
- 冬場の冷えにも有効
6. 食事・嗜好品の調整
- 朝食をしっかり、夕食は軽めに
- カフェインは午後から控える(お茶・コーヒー含む)
- アルコール・寝酒は逆効果、控えましょう

寝酒やカフェインの習慣はすぐにやめるのが難しいので、「少しずつ減らす」ことをおすすめしています。
7. 昼寝と就寝スケジュール
- 昼寝は午後3時までに20〜30分
- 布団に入るのは眠くなってから
- 寝られなければ一度起きてリラックス行動を
Q&A|店頭でよくある質問

Q:高齢の父が8時間以上寝ていても疲れが取れないのですが?
A:高齢者にとっては「長すぎる睡眠」も健康リスクです。必要な睡眠時間は6時間前後が目安です。
床にいる時間が長すぎると睡眠が浅くなり、かえって疲れが取れません。
Q:母が夜中に何度もトイレに起きて寝付けません。どうすれば?
A:夜間頻尿が原因の場合、塩分を控える・夕方以降の水分を調整することが有効です。
また、かかりつけ医に相談し、泌尿器系のチェックを受けるのも大切です。
Q:昼寝をしてしまうと夜眠れません。やめた方がいい?
A:昼寝自体は悪くありませんが、午後3時までに20〜30分程度が理想です。
長時間の昼寝は夜の睡眠を妨げるので避けましょう。
Q:寝る前にお酒を飲むと眠れる気がしますが大丈夫?
A:寝酒は一時的に寝付きが良くなるように感じますが、夜中に目が覚めやすくなり、睡眠の質が低下します。
できるだけ控えた方が安心です。
店頭での接客事例
70代女性の方から「夜布団に入っても1時間以上眠れない」とご相談いただきました。
詳しく伺うと、日中ほとんど外出せず、昼寝も2時間ほど取っているとのこと。
その場では「まずは日中に少し体を動かすこと」や「昼寝は20分程度に短縮すること」をご案内。
さらに、布団に入ってからできる筋弛緩法をお伝えし、試してみるようおすすめしました。

このように店頭では、その方の生活習慣を聞き取った上で、すぐ取り入れられる工夫を一緒に考えることが多いです。
補助的サポートアイテム|生活改善で足りないときに
生活習慣を見直してもなかなか寝付きが改善しない場合、補助的なサポートとして漢方薬やハーブティーを取り入れる方もいます。
ただし、あくまで「生活改善が基本」であり、体質や持病によっては合わない場合もあるため、使用前には必ず添付文書を確認し、医師・薬剤師・登録販売者にご相談ください。
| サポートアイテム | 特徴 | 対象 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 抑肝散加陳皮半夏(漢方) | イライラ・緊張を和らげる | 寝付きの悪い高齢者 | 日中服用で自然な入眠を促す |
| ノンカフェインハーブティー | リラックス作用 | 眠前の習慣に | カモミールやラベンダ ーなど |
>もし医薬品やサプリでの対応を検討したい方は、別記事で詳しく解説しています。
▶ 高齢者の不眠に使えるサプリの選び方
▶ 高齢者の不眠に使える市販薬の選び方
まとめ|まずはできることから生活改善を
- 寝付きが悪い高齢者には、「運動+リラックス+環境調整」が基本
- 薬に頼らずできることを続けることが大切
- それでも改善が見られない場合は医療機関の受診を検討しましょう
ブックマークしておくと、後から見返せて便利ですよ✨

相談の6〜7割は70代以上の方からで、家族と一緒に来られるケースも多いです。家族のサポートも含めて取り組むと効果的です。
はる店長プロフィール
店頭での登録販売者歴10年以上。年間500件以上の相談を受ける中で、不眠・睡眠に関する高齢者の悩みを数多く対応。実家の母も睡眠トラブルを抱えていた経験から、生活改善の大切さを日々実感。
参考情報
はる店長の一言💡:厚労省や学会の情報は、生活改善の信頼できる指針になります。気になる方はぜひチェックしてくださいね。
関連リンク
・【まとめ】高齢者の不眠対策|市販薬・サプリ・生活習慣の全体ガイド


コメント