胃の不調に効く市販薬の選び方|胃もたれ・胸やけ・ムカムカに成分別で対策

🟩 消化器・胃腸トラブル
この記事は約8分で読めます。

「最近、食後に胃が重い…」「飲みすぎた翌朝がつらい」「ムカムカして集中できない」──そんなとき、市販の胃薬が心強い味方です。ただ、種類が多くて迷ってしまう方がとても多いのも事実。登録販売者の視点で、症状×作用の最短ルートをご案内します。

この記事でわかること(3つ)

  • 自分の症状に合うタイプ(消化・制酸・粘膜保護・鎮痙・H2ブロッカー)がわかる
  • 代表的な成分と商品タイプの違いがわかる
  • 飲み合わせ・受診ラインの安全ポイントがわかる

🗓️ 更新日:2025年8月


病院に行くべき症状の見極め

次のような症状がある場合、市販薬ではなく医療機関の受診が必要です。

  • 胃痛が数日続く、夜間に痛む
  • 吐血や便に血が混じる
  • 吐き気・嘔吐が激しい
  • 体重減少や食欲不振を伴う

「市販薬を飲んでも改善しない」場合は、必ず医師に相談しましょう。セルフメディケーションの目安は 厚労省:セルフメディケーションガイドも参考になります。


まずは結論:胃薬は「症状×作用」で選ぶのが正解!

🔗 すぐに商品比較を見たい方はこちら

症状おすすめの作用主な成分
胃もたれ・食べすぎ消化促進・健胃消化酵素、生薬など
胸やけ・胃酸過多制酸・粘膜保護制酸薬、胃粘膜保護成分
ストレス性の胃痛・ムカムカ鎮痙・胃粘膜修復ロートエキス、セトラキサートなど
飲みすぎ・二日酔い肝機能サポート・粘膜保護ウルソ、ソヨウなど

店頭での接客事例

ご相談: 脂っこい食事が続き、食後の重さ・膨満感。胸やけは少なめ。高血圧薬を内服中で外出先でサッと飲みたい。
ご提案: 消化酵素+健胃生薬の消化薬(顆粒/液体)を食後〜食間に。胸やけ主訴でないので制酸は優先度低め。
確認ポイント: 炭酸水素Na主体の制酸薬はナトリウム量に留意(高血圧の方)。
フォロー: 2〜3日で変化なければ粘膜保護制酸の併用を検討、長引くなら受診案内。

ご相談: 夕食が遅く、就寝前の胸やけ・酸っぱい逆流感。胃痛は強くない。降圧薬を内服。
ご提案: 就寝前にH2ブロッカー(ファモチジン)を短期使用+生活対策(食後2〜3時間は横にならない・枕を高く)。頓用で制酸+粘膜保護も候補。
受診ライン: 2週間を超える連用は避ける/嚥下時の痛み・黒色便・体重減少は医療機関へ。

ご相談: 緊張時に差し込むような胃の痛み。空腹時に出やすい。車通勤。
ご提案: 鎮痙薬(ブチルスコポラミン等)を頓用し、必要に応じて粘膜修復(アズレン+L-グルタミン)を継続。少量の消化にやさしい食事を併用。
注意: 鎮痙薬はかすみ目・口渇
などが出ることがあり、運転前の服用は避ける。緑内障・前立腺肥大は禁忌/慎重。

症状別・成分別使い分け早見表

タイプ主な作用代表成分例剤型1日回数目安
消化薬食べすぎ・胃もたれをやわらげるビオヂアスターゼ、リパーゼ、ウルソ錠/顆粒/液食後1回〜毎食
制酸薬胸やけの酸を中和炭酸水素Na、水酸化Mg、沈降炭酸Ca錠/顆粒/液1日3〜4回
胃粘膜保護・修復胃粘膜を守る・整えるテプレノン、ソファルコン、セトラキサート、アズレン+L-グルタミン錠/顆粒1日3回
鎮痙薬けいれん性の痛みを抑えるブチルスコポラミン、ロートエキス頓用〜1日3回
H2ブロッカー胃酸分泌を抑えるファモチジン1〜2回/日
総合胃腸薬幅広くカバー複合配合錠/顆粒/液2〜3回/日

※用法・用量は製品により異なります。必ず添付文書に従ってください。

具体的な商品で比較

代表商品(メーカー)主成分の要点向いている人注意(避けたい人・併用)服用回数目安剤型眠気
太田胃散(太田胃散)4種の制酸剤+7種の健胃生薬食べすぎ・飲みすぎ後の胃もたれ/粉末でサッと飲みたいナトリウムを含むため塩分管理中は用量に注意食後または食間 1日3回散(粉末)なし
パンシロンG(ロート)制酸+消化酵素+L-グルタミン+健胃生薬+少量ロートエキス胃もたれ+胸やけが混在/顆粒が良い授乳中は避ける/緑内障・排尿困難は要相談/鎮痙成分の重複注意食後 1日3回顆粒なし(口渇・かすみ目に注意)
第一三共胃腸薬(第一三共ヘルスケア)制酸+消化酵素+健胃+胃粘膜保護/ナトリウム・ロート不使用幅広い症状を1本でカバーしたい/塩分やロート成分を避けたい成分重複(他の制酸・健胃薬)に注意食後 1日3回錠/細粒なし
セルベール整胃錠(エーザイ)テプレノン+生薬で胃粘膜を守るムカムカや慢性的な不快感の予防・改善15歳未満は服用不可食後 1日3回なし
ガスター10(第一三共ヘルスケア)H2ブロッカー:ファモチジン10mg強い胸やけ/夜間の逆流感2週間を超えて連用しない/他の制酸薬との重複注意/腎機能に不安があれば相談症状時 1回1錠(必要時8時間後にもう1錠)なし
タナベ胃腸薬ウルソ(田辺三菱製薬)UDCA(ウルソデオキシコール酸)50mg/胆汁酸分泌促進で脂肪もたれに脂っこい食事由来の胃もたれ・消化不良持病治療中は事前相談夕食前または後に 1日1回1錠なし
ブスコパンA(エスエス製薬)ブチルスコポラミン10mg(鎮痙)緊張時の差し込み・キリキリ痛の頓用緑内障・前立腺肥大は禁忌/慎重/運転前は避ける頓用(最大1日3回/4時間以上間隔)なし
サクロンQ(エーザイ)オキセサゼイン(粘膜表面に直接作用)ムカムカ・はきけを伴う胃痛を早く抑えたい1日3回まで・4時間以上間隔/長期連用しない症状時(最大1日3回)錠(クイック製剤)なし

※用法・用量・年齢制限・禁忌は各製品の添付文書で必ずご確認ください。成分の重複(例:制酸薬+H2ブロッカーなど)にもご注意ください。

胃もたれ・食べすぎに

はる店長
はる店長

消化酵素+健胃成分で“ため込んだ消化物”をさばく。脂っこいもたれにはウルソも選択肢。

  • 主な成分:ビオヂアスターゼ、リパーゼ、ウルソ
  • 商品例:太田胃散、パンシロンG、新ビオフェルミンS細粒

胸やけ・胃酸過多・ムカムカに

はる店長
はる店長

まず制酸で中和、反復するならH2ブロッカー(短期)を検討。粘膜保護を併用すると持ち上がる酸刺激をガード。

  • 主な成分:炭酸水素ナトリウム、水酸化マグネシウム、テプレノン
  • 商品例:第一三共胃腸薬、セルベール整胃錠、ガスター10

ストレス・神経性の胃痛に

はる店長
はる店長

差し込みには鎮痙、ダメージ予防に粘膜修復を組み合わせ。運転や持病の有無を必ず確認。

  • 主な成分:ロートエキス、セトラキサート、鎮痙生薬
  • 商品例:ブスコパンA、マーズレンS、サクロンQ

飲みすぎ・二日酔い時に

はる店長
はる店長

胃の荒れは粘膜保護、脂っこいもたれはウルソなどでケア。水分・睡眠・食事(消化にやさしい)もセットで。

  • 主な成分:ウルソデオキシコール酸(UDCA)、ソヨウ乾燥エキス
  • 商品例:ヘパリーゼ胃腸薬、ウルソ、キャベジンコーワα


市販の胃腸薬の選び方ガイド

剤型(錠剤・顆粒・液体)で選ぶ

「錠剤が飲みにくい」「持ち歩きやすいのがいい」など、ライフスタイルに合わせて選ぶのもおすすめです。

持病や常用薬がある方は要確認

  • ガスター10などのH2ブロッカーは、他の薬と併用に注意が必要
  • 肝機能に影響する成分は、肝疾患のある方に不向きなことも
  • H2ブロッカー(ファモチジジン)の自己判断での連用は原則2週間以内(続く場合は受診)
  • 鎮痙薬は運転前は避ける/緑内障・前立腺肥大は要相談

➡️ 高血圧・心臓病など持病がある方は、薬剤師や登録販売者にご相談を


よくある質問とアドバイスQ&A

Q1. いつ飲むのが正解?(タイプ別の目安)

  • 消化薬:食後または食間(食べすぎ・もたれの直後に)。
  • 制酸薬:症状が出た時/食後・就寝前。
  • 胃粘膜保護・修復:食後にコツコツ継続。
  • 鎮痙薬:差し込む痛みが出た時に頓用。
  • H2ブロッカー:夜間の胸やけには就寝前などに短期使用。

Q2. どれくらいで体感できますか?

  • 制酸薬:比較的早め(目安10〜30分)。
  • H2ブロッカー:1回目から楽になることも(個人差)。
  • 消化薬/粘膜保護:2〜3日で傾向がわかることが多い。

Q3. 何日まで使ってOK?(受診ライン)

  • H2ブロッカー:自己判断の連用は原則2週間以内。続く・悪化は受診。
  • その他:数日〜1週間で改善しなければ受診。吐血・黒色便・体重減少は即受診。

Q4. 他の薬と一緒に飲めますか?(併用のコツ)

  • 制酸薬:一部の薬の吸収を下げる恐れ→2時間以上あける。
  • H2ブロッカー:他の制酸系との重複に注意。
  • 服用中の薬がある方は事前に薬剤師・登録販売者へ

Q5. 夜だけ胸やけが強い時は?

  • 就寝2〜3時間前に飲食を終える/枕をやや高く
  • 反復するならH2ブロッカーを就寝前に短期使用を検討(自己判断の連用は2週間以内)。

まとめ:自分に合った胃薬で不調をやわらげよう

  • 胃薬は「症状×作用」で選ぶと失敗しにくい
  • 成分を知ることで、選び方に自信が持てる
  • 不安なときは、登録販売者や薬剤師に相談

➡️ おすすめ胃薬を今すぐチェック

はる店長
はる店長

📌 このページはブックマークして、いざというときの参考にしてください。


店長プロフィール

はる店長|登録販売者・セルフケアアドバイザー
10年以上の店頭経験を活かし、生活者の立場で選びやすい市販薬情報を発信中。

くわしいプロフィールはこちら


参考情報


関連リンク

  • [胸やけ・逆流が気になる方へ:H2ブロッカーと制酸薬の使い分け(準備中)]
  • [ストレス性の胃痛対策:鎮痙薬の選び方とセルフケア(準備中)]
  • [飲みすぎ・二日酔い対策:UDCAと胃粘膜保護の基礎(準備中)]
  • [下痢に効く市販薬の選び方ガイド]
  • [食あたり・胃腸炎対策の市販薬まとめ]

コメント

タイトルとURLをコピーしました